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札幌アップル発:婦人科医師のお話を

平成15年、札幌駅北口前の札幌エルプラザに開業しました。不妊治療をはじめ、思春期~更年期までの女性のサポート役としての産婦人科医師を目指しています。日々の婦人科診療の中で気がついたことや気軽な話題など書いてみたいと思います。

多毛についての続編です。

今回は治療についてです。

もう生じてしまった硬毛は、電気凝固、脱毛クリーム、脱色法、レーザー脱毛などの美容的脱毛療法しか方法はありません。

新たな硬毛化を抑えるためには、薬剤、外科的療法によりますが全身的多毛治療としては、低用量ピルと利尿薬のスピロノラクトンの薬剤療法をお勧めします。

低用量ピル卵巣からの男性ホルモン分泌を抑えて、多毛症を改善させます。

スピロノラクトンは、アンドロゲンレセプターをブロックすることと卵巣からの男性ホルモン分泌を減少させることで多毛症を改善させます。
この薬は高血圧の治療に用いられますが、正常な血圧に影響を及ぼすことは通常ありません。
副作用として不正出血や月経回数が多くなることですが、低用量ピルと併用することでコントロールできます。

ただし臨床的効果が認められるまでには6か月は必要です。

PCOSが原因の多毛症も同じく治療できますのでご安心を。

子供の頃から毛深く、濃い毛があり悩んいる方の受診が多くなってます。


ただし受診された人の多くは、この多毛のためでなく、生理不順があるために婦人科を受診されたようです。

この生理不順の原因は、多のう胞性卵巣症候群(PCOS)(これについては後ほど)であることが多いのです。


まず今回は、多毛についての基本的な意味についてのお話をしたいと思います。

❶多毛症とは?

女性の悩みのひとつの多毛ですが、多毛症とは、軟毛の硬毛化(やわらかい毛が硬くなること)のことをいうのであり、毛の数が増えることではありません。女性や小児にみられる男性型の発毛状態をいいます。

❷どうして硬くなるのかな?

女性でも血液中に男性ホルモン(アンドロゲン)が過剰分泌すると硬毛化し、本来柔らかくて目立たない部位が毛深く見えるようになります。副腎皮質ホルモンや成長ホルモンの過剰によって起こることもあります。男性ホルモンが異常高値を示す場合にまれに卵巣がんや副腎がんの可能性もありますので、多毛症を認める場合には医療機関を受診して、血液中の男性ホルモンを測定されることをお勧めします。副腎や性腺で産生されるDHEAという男性ホルモン値の正常値は年齢によって異なりますので注意が必要です。

蛇足ですが、このDHEAは、老化プロセスを遅らせたりする「若返りホルモン」としてのサプリメントとしても知られています。一時、世間を騒がせた『あるある大事典』データ捏造問題を思い出して下さい。あれは、納豆を食べるとこのDHEAが増えることで健康的にダイエットできるという内容だったのです。

❸男性ホルモン(アンドロゲン)って何?

アンドロゲンとは、男性化作用を持つホルモンの総称です。
その中には、テストステロンのほか
ジヒドロテストステロン(DHT)
デヒドロエピアンドロストロン(DHEA)
アンドロステロン
アンドロステンジオン
などがあります。

思春期以降に、精巣、卵巣、副腎から分泌されます。女性にも男性ホルモンは分泌されていて80%は卵巣から分泌されます。

多毛の発症を簡単に分類しますと

(1)血液中に男性ホルモンが増加する場合
(2)男性ホルモンは正常だが、発毛をつかさどる毛のう組織が男性ホルモンに対して感受性 が亢進している場合
 (特発性多毛症という)
(3)男性ホルモン剤を含む薬剤の投与による二次的な場合

となります。

この男性ホルモンが少量の場合は腋毛、陰毛の硬毛化がみられ(これは正常型ですね)、多量の場合は、髭、髪、胸毛、背中、四肢の毛の硬毛化がみられます。

例えば女性の陰毛は通常逆三角形に生え、おなかの毛は目立ちませんが、男性ホルモンが過剰分泌すると、本来目立たないおなかの毛が硬毛化し、おへその下まで続くようなピラミッド状の男性型の生え方となります。

多毛のスコアがありますので、参考にして下さい。

FerrimanーGallweyのスコア
FerrimanーGallweyのスコア

次回は、多のう胞性卵巣症候群(PCOS)についてお話したいと思います。
http://funin123.blog98.fc2.com/blog-entry-36.html