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札幌アップル発:婦人科医師のお話を

平成15年、札幌駅北口前の札幌エルプラザに開業しました。不妊治療をはじめ、思春期~更年期までの女性のサポート役としての産婦人科医師を目指しています。日々の婦人科診療の中で気がついたことや気軽な話題など書いてみたいと思います。

一般に漢方は慢性疾患にゆっくりと効果を示すような印象があると思いますが、かぜ症候群、特にインフルエンザに対しては速やかに効果を現すことが多いと報告されています。

漢方は宿主(患者)の免疫機能を調整することで対応します。

たとえば新型インフルエンザのような感染症が流行すれば、誰の体の中にもウイルスが入り込んでくるはずですが、そこで発症する人としない人が出てきます。これはいわゆる初期免疫の差と考えます。

基礎疾患のない人がインフルエンザになった場合、麻黄湯を投与されることが多いようです。

麻黄湯は強い頭痛や全身の筋肉関節痛がある場合に適しております。
インフルエンザのように高熱や関節痛など症状が激烈なときは、通常麻黄湯を飲んで不快な思いをする患者さんも1~2日は問題なく飲めるためです。お湯に溶かして飲むといいです。動悸などに気を配る必要はありますが、動悸が強い時は量を減らすか、一番体に優しい麻黄剤である麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)にします。
症状が落ち着いた後ならば、柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)でもよいでしょう。こちらには麻黄は含まれていません。

ただし時に重篤化するインフルエンザというウイルス感染症に対して、エビデンスが少ない漢方薬で大丈夫かという疑問も浮かぶのは当然です。

kubo T, Nihimura H : Antipyretic effect of Mao-to, a Japanese herbal medecine, for treatment of type A influenza infection in children. Phytomedicine 14 : 96-101, 2007

Nabeshima S et al : A coparison of oseltamivir with maoto, a tranditional herbal medicine, for the treatment of adult seasonal influenza A. J Trad Med 27 : 148-156,2010

上記の文献によれば、麻黄湯は単独で、タミフル・リレンザに匹敵する臨床効果を有するとしております。

麻黄湯も初日の治療が大切で、たとえ治療開始が午後でも初日は3回飲むこと。さらに初回投与を倍量(2包)にすると全身症状が緩和されることが示されております。
もしくは4時間毎に服用してもいいと思います(初日、1日量が倍量になります)。2日目以降は症状をみて飲む量を決めます。

麻黄湯は体を温める作用があり、服用後は発汗します。逆に脱水を来す場合がありますので水分摂取は大切です。

抗インフルエンザ薬(ノイラミニダーゼ阻害剤)との併用も有効と考えられますが、小児の臨床試験では麻黄湯単独群とタミフル併用群とでは発熱持続時間に差はなかったようです。

■麻黄湯のまとめ

①成人インフルエンザに対して、麻黄湯は単独で抗インフルエンザ薬と遜色のない効果を発揮する。
②抗インフルエンザ薬と併用してよい。
③発症48時間以内の投与が望ましい。
④治療初日は投与開始が午後でも3回/日投与する。5日間投与が望ましい。また初回投与のみ2包/回すると全身症状緩和に効果がある。
⑤脱水を避けるため、初期は水分を多く摂取する。
⑥高熱時はアセトアミノフェンを頓服してよい。
⑦妊婦、高齢、心疾患、呼吸器疾患に関してはエビデンスがないので投与は避ける。



インフルエンザ診療のポイント(南江堂:藤田次郎氏編集)より


個人差があります。
インフルエンザ治療は、担当の先生によくご相談ください。



質問:「漢方」って中国の医学 or 日本の医学 or その他の国の医学でしょうか?

答え

漢方は、れっきとした日本の医学です。
中国の医学は「中医学」といいます。
「漢方」という言葉は江戸時代のオランダ医学の「蘭方」に対して作られた日本の造語です。

漢方薬は数千年にわたり薬として効果があることが知られていた生薬(草根木皮を乾燥したもの)をいくつか組み合わせた混合薬です。

実際に漢方薬は、2~18種類程度までの生薬で構成されています。

2種類の生薬で構成された漢方の代表は「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」というものです。
これは「こむらがえり」の特効薬です。
夜中に寝ていたときに足がつった痛みで起きた経験は一度はあると思います。

18種類の生薬で構成された漢方の代表は「防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)」です。
このブログの「肥満と漢方:目指せダイエット」で書いてあります。

このように複数の生薬を決められた組み合わせで治療に用いたのが漢方薬です。

これに対して中国からの輸入薬品は中医薬もしくは中国の民間薬か健康食品のたぐいであって漢方薬ではありません。

また日本にも民間薬は存在します。原則的に単味であり、例えば、“ドクダミ”や“ゲンノショウコ”や“ヨモギ”などはこれだけで服用されます。

「ゲンノショウコ」っておもしろい名前でしょう?
昔から下痢止めの薬草として使われてきたもので、江戸時代の始め頃から用いられ、これを服用するとたちまち効き目が現れることから「現之証拠(ゲンノショウコ)」という名がついたと言われています。

漢方薬は病気のある部分だけを治すのでなく人間に本来備わっている治す力を高めてからだ全体のバランスを整えることを基本としています。

漢方の特徴は同じ病気であっても体質や病態によっては飲む漢方が違うということもあります。

たとえば

やせた人の高血圧には「真武湯(しんぶとう)」
太った人の高血圧には「大柴胡湯(だいさいことう)」

と異なる漢方薬が用いられます。

また一つの病気にだけ効果があるというわけでもないのです。

「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」という漢方は、貧血、倦怠感、更年期障害、月経障害、月経困難、不妊、動悸、慢性腎炎、妊娠中の諸病、脚気、半身不随、心臓弁膜症などに効果があるとされます。
更年期障害から不妊から心臓弁膜症からと西洋薬では考えられない範囲ですので、なんだか不思議な感じがすると思います。

理解のためには専門的ですが、漢方理論として「五臓六腑(ごぞうろっぷ)」をしらなくてはなりません。

お酒を飲むと「五臓六腑に染み渡る」とよく表現されますがご存じでしょうか?


この五臓六腑のお話だけでもまだまだ書かなくてはいけませんが、一回分のブログとしては少し長くなってきたようですのでこの辺で終わりにします。

今後、漢方のお勉強になるように続きを書きたないな~と思います。


インフルエンザのお薬といえば、 シンメトレル、タミフル、リレンザなどの抗ウイルス剤があります。


しかし、A 型インフルエンザ治療に使用されるシンメトレルには耐性増加(いわゆる効かないという意味)の報告があります。

タミフルは1歳未満での安全性が確立していないうえ、因果関係は不明ですが、10 歳代の内服者における異常行動の報告が相次ぎました。

リレンザも吸入困難例や4 歳以下の幼児に対する安全性は確立していません。
実際、吸入式ですので幼児には難しい。


ワクチンも受けられるのかわからない現況と、更にこうした抗ウイルス剤に対する不安があることも事実です。

ここで注目されるものに 麻黄湯という漢方 があります。

麻黄湯が、こうした抗ウイルス剤と同じ程度の効果があるという報告が散見されます。

麻黄湯はインフルエンザウイルスへの直接作用の他に、免疫宿主側に働きかけることによって、抗インフルエンザ効果を示したのではないかと推測されているのです。
麻黄湯は0.08 ~ 0.19g/kg/日を分3(最大7.5g/日)で投与されます。

医師向けの冊子によると、麻黄湯の使用適用は、悪寒、発熱、頭痛、腰痛、自然に汗のでないものの次の諸症とあり、感冒、インフルエンザ(初期のもの)、関節リウマチ、ぜんそく、乳児の鼻閉塞、哺乳困難などと書かれています。

麻黄湯の構成生薬は麻黄、桂皮、杏仁、甘草です。

麻黄は、感染から1時間のウイルス増殖初期、細胞への吸着と侵入、脱殻(だっかく)を阻害すると考えられています。

桂皮は、感染後数時間の中期、RNAとタンパク合成を阻害すると考えられています。

これに対し、抗ウイルス剤は感染後期、細胞内部で増殖したウイルスを細胞外に放出する部位を阻害するように働きます。

こうした事実からインフルエンザの感染が疑われたら、まず麻黄湯をそして抗ウイルス剤を併用してみようと個人的には考えています。

症状や体質、年齢などいろいろな要素を考えてこうした漢方も上手に活用することは有効な対策と考えています。

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おなかのまわりに皮下脂肪が多く、むくみのある方にナイシトール!
こんな感じのテレビCMをよくみかけます。

これは、防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)という漢方です。アップルレディースクリニックでも時々処方することがあります。コッコアポA錠もこの防風通聖散と同じものです。

CIMG0964_20090709164312.jpgこの漢方薬の成分は、芍薬(しゃくやく)、当帰(とうき)、甘草(かんぞう)、桔梗(ききょう)、薄荷(はっか)麻黄(まおう)、生姜(しょうきょう)などのなんと18種類もの自然に由来した原材料を元にしています。

高血圧に伴う症状(動悸、肩こり、のぼせなど)、動脈硬化、糖尿病、便秘、肥満など中高年の気になる症状に働きかける効果があるといいます。

「肥満の分類」 の記事を見て下さい。この防風通聖散に当てはまる方の図があります。

体力が充実した方で、便秘傾向有り、おなかのおへそを中心に膨れている、いわゆる太鼓腹のような場合に用いることが多いです。



ただCMをみていると、これを飲みさえすれば脂肪がなくなるやせ薬の一つのように錯覚してしまいそうです。最近メタボリックシンドロームという言葉の流行につれて更によく目にするようになってきました。

しかし、元々この漢方薬はダイエットを目的としたものではありません。

ネット上でこの漢方薬、防風通聖散をダイエットに使用し痩せた、ウエストが細くなった、体重が減ったなどの口コミを見ると気になりますよね。

「メタボリックシンドロームには防風通聖散」というような宣伝文句で気軽に通販などで購入できる状態のようです。

個人でダイエット目的の為に購入された方の中には重い副作用のでる場合があります。

まず、体力のない方や胃腸の弱い方には絶対おすすめができません。

それと下痢!

下痢がやせる効果だと信じ込み、無理に使い続けていくことで、食欲不振、さらには肝機能障害などの病気の引き金になるリスクがあります。

下剤


飲むだけでおなかの脂肪がみるみる落ちるなどという、そんな都合のよい薬ではありません。

漢方薬というものは、食の中味を考え適度な運動を取り入れながら生活の質を改善し、そのうえで体質にあったものを取り入れることで最大にその効能を生かすことができる薬です。

医師や薬剤師からしっかりと説明を受けて、自分の体質と症状に合わせて処方され、用法などを守って使えば西洋薬とはまた違う効果を期待できます。

しかし、根拠のない話を信じたり、副作用が出ているのに自己判断で長期に渡って飲み続けるようなことは絶対に避けてくださいね。



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これから何回かにわたって漢方についてのお話をします。
アップルレディースクリニックでも、漢方をご希望でいらっしゃる方がたくさんおられます。
もちろん保険がききます。

思春期の悩みのひとつは、ニキビ。正式名称は尋常性ざ瘡です。

■ニキビ治療の三本柱

1. 日常生活の指導と改善
2. 全身療法
3. 局所療法

で、漢方はこの全身療法の一翼です。

漢方では、「皮膚は内臓の鏡」と考えています。
漢方も全身的な体質と体力を考えて選択しないと、胃腸障害を起こして逆効果になります。

■漢方の適応

1.西洋医学治療(主に抗生剤内服)に反応しない、または副作用がみられる場合
2.胃下垂、胃アトニーなどの虚弱体質者で抗生剤内服で胃腸障害を来す場合
3.西洋医学治療に効果がみられるが、その減量または中止後に再発する場合
4.心身症傾向があり、漢方の効果が期待できる場合

■処方例

体質が強く、化膿傾向が顕著(脂ぎっていて、ニキビも赤く化膿ぎみ)で、便秘が軽度~なし。下腹部の圧痛ない。冷えなしといったような場合は、清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)が用いられます。

体質が弱く、ニキビも赤みが弱く、貧血傾向、冷え性の場合は、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)が用いられます。

顔のニキビ以外に化膿巣がみられた場合は、十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)を考える。

あごから口にかけてのニキビは、胃腸との関連性が考えられ、この場合は、半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)を用いられることがあります。便秘や下痢を繰り返す場合にこうした漢方にて肌のつやがよくなることが期待できます。

■ 経過の見方

ニキビがよくなるには、通常、抗生剤内服が1ヶ月で半分程度、2~3ヶ月で1/4程度への改善が見込めます。従って、漢方の場合は、2ヶ月程度投与してもある程度の改善傾向が見られなければ、処方の変更を考えます。

婦人科医としてひとつ付け加えます
いろいろ治療したのだがニキビがなかなか治らないといって最終的に婦人科を受診される方が時々います。
こうした時は、勿論漢方での治療経験ありがほとんどです。
こうしたケースで、ピルを飲むことで改善することをたびたび経験します(勿論、無効例も同じようにあります)。



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