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札幌アップル発:婦人科医師のお話を

平成15年、札幌駅北口前の札幌エルプラザに開業しました。不妊治療をはじめ、思春期~更年期までの女性のサポート役としての産婦人科医師を目指しています。日々の婦人科診療の中で気がついたことや気軽な話題など書いてみたいと思います。

漢方の肥満
おもしろい絵をみつけました。もしかしたらどれかに当てはまる方はいませんか?
残念ながら当てはまってしまった方は、是非、解説を読んでみてください。

■肥満症に用いられる漢方です。

1. 食積(脂肪肥り) →  防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
2. 痰飲(水肥り)  →  防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)
3. 気滞(肉肥り)  →  大柴胡湯(だいさいことう)
4. 淤血(赤肥り)  →  桃核承気揚(とうかくじょうきとう)、通導散(つうどうさん)

■疾患の概念

肥満とは体脂肪が過剰に蓄穣した状態です。

肥満症は単純性肥満症候性肥満とに分類される。

肥満の大部分(90%以上)は体質的要因や生活習慣、特に食生活の在り方に原因がある単純性肥満で、残りのごく一部が内分泌異常、代謝異常、或は薬物などに起因する症候性肥満である。単純性肥満は加齢と共に増加進行する傾向があります。

 漢方治療の対象となるのは主に単純性肥満である。適切な食餌療法と運動療法に漢方治療を組み合わせると治療効果が一層高まります。
 

■処方の運用

1.食積肥満(脂肪肥り)
日頃から美食、過食による栄養過多に加えて、運動不足などがあって肥満するもので、飽食の時代といわれる現代にあっては最も多いタイプである。

2.痰飲肥満(水肥り)
 肥満しているが体質的には虚証である。牌気虚(消化機能減弱)があるため、水飲が停滞し、水腫(全身的浮腫傾向)を呈するもので、臨床的には色白でプクブクと肥り、多飲多汗し、すぐ疲労し息切れを訴えるタイプの肥満である。

3.気滞肥満(肉肥り)
 活動的で食欲旺盛、筋肉質の肥満者にみられる。このタイプの者は精神的ストレスや不快な事があると肝気鬱結を生じ易く、イライラ、易怒、のぼせ、口が苦い、或は眼の充血などを起こす。肝気が胃に横逆すると、脾胃の機能を乱し、時に胃酸過多どなり、食欲を異常に克進させ、その結果さらに肥満を生じることがある。このタイプの肥満者は高血圧症や脂肪性肝障害、糖尿病等を併発し易い。

4.淤血肥満(赤肥り)
更年期になって急に肥り出す女性などに多いタイプである。淤血がある人は血が顔に上って充血するので顔色は暗赤色を帯び、舌や口唇の粘膜は暗紫色、皮膚や粘膜に血絡(静脈怒張)や細絡(毛細血管拡張)、サメ肌があり、また冷えのぼせなどの自律神経症状を伴い下腹部の膨満、抵抗、庄痛がある。また体のあちこちにしびれや痛みを訴えることが多い。
 
  
テーマ:健康、美容、ダイエット - ジャンル:ヘルス・ダイエット
おなかのまわりに皮下脂肪が多く、むくみのある方にナイシトール!
こんな感じのテレビCMをよくみかけます。

これは、防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)という漢方です。アップルレディースクリニックでも時々処方することがあります。コッコアポA錠もこの防風通聖散と同じものです。

CIMG0964_20090709164312.jpgこの漢方薬の成分は、芍薬(しゃくやく)、当帰(とうき)、甘草(かんぞう)、桔梗(ききょう)、薄荷(はっか)麻黄(まおう)、生姜(しょうきょう)などのなんと18種類もの自然に由来した原材料を元にしています。

高血圧に伴う症状(動悸、肩こり、のぼせなど)、動脈硬化、糖尿病、便秘、肥満など中高年の気になる症状に働きかける効果があるといいます。

「肥満の分類」 の記事を見て下さい。この防風通聖散に当てはまる方の図があります。

体力が充実した方で、便秘傾向有り、おなかのおへそを中心に膨れている、いわゆる太鼓腹のような場合に用いることが多いです。



ただCMをみていると、これを飲みさえすれば脂肪がなくなるやせ薬の一つのように錯覚してしまいそうです。最近メタボリックシンドロームという言葉の流行につれて更によく目にするようになってきました。

しかし、元々この漢方薬はダイエットを目的としたものではありません。

ネット上でこの漢方薬、防風通聖散をダイエットに使用し痩せた、ウエストが細くなった、体重が減ったなどの口コミを見ると気になりますよね。

「メタボリックシンドロームには防風通聖散」というような宣伝文句で気軽に通販などで購入できる状態のようです。

個人でダイエット目的の為に購入された方の中には重い副作用のでる場合があります。

まず、体力のない方や胃腸の弱い方には絶対おすすめができません。

それと下痢!

下痢がやせる効果だと信じ込み、無理に使い続けていくことで、食欲不振、さらには肝機能障害などの病気の引き金になるリスクがあります。

下剤


飲むだけでおなかの脂肪がみるみる落ちるなどという、そんな都合のよい薬ではありません。

漢方薬というものは、食の中味を考え適度な運動を取り入れながら生活の質を改善し、そのうえで体質にあったものを取り入れることで最大にその効能を生かすことができる薬です。

医師や薬剤師からしっかりと説明を受けて、自分の体質と症状に合わせて処方され、用法などを守って使えば西洋薬とはまた違う効果を期待できます。

しかし、根拠のない話を信じたり、副作用が出ているのに自己判断で長期に渡って飲み続けるようなことは絶対に避けてくださいね。



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これから何回かにわたって漢方についてのお話をします。
アップルレディースクリニックでも、漢方をご希望でいらっしゃる方がたくさんおられます。
もちろん保険がききます。

思春期の悩みのひとつは、ニキビ。正式名称は尋常性ざ瘡です。

■ニキビ治療の三本柱

1. 日常生活の指導と改善
2. 全身療法
3. 局所療法

で、漢方はこの全身療法の一翼です。

漢方では、「皮膚は内臓の鏡」と考えています。
漢方も全身的な体質と体力を考えて選択しないと、胃腸障害を起こして逆効果になります。

■漢方の適応

1.西洋医学治療(主に抗生剤内服)に反応しない、または副作用がみられる場合
2.胃下垂、胃アトニーなどの虚弱体質者で抗生剤内服で胃腸障害を来す場合
3.西洋医学治療に効果がみられるが、その減量または中止後に再発する場合
4.心身症傾向があり、漢方の効果が期待できる場合

■処方例

体質が強く、化膿傾向が顕著(脂ぎっていて、ニキビも赤く化膿ぎみ)で、便秘が軽度~なし。下腹部の圧痛ない。冷えなしといったような場合は、清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)が用いられます。

体質が弱く、ニキビも赤みが弱く、貧血傾向、冷え性の場合は、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)が用いられます。

顔のニキビ以外に化膿巣がみられた場合は、十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)を考える。

あごから口にかけてのニキビは、胃腸との関連性が考えられ、この場合は、半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)を用いられることがあります。便秘や下痢を繰り返す場合にこうした漢方にて肌のつやがよくなることが期待できます。

■ 経過の見方

ニキビがよくなるには、通常、抗生剤内服が1ヶ月で半分程度、2~3ヶ月で1/4程度への改善が見込めます。従って、漢方の場合は、2ヶ月程度投与してもある程度の改善傾向が見られなければ、処方の変更を考えます。

婦人科医としてひとつ付け加えます
いろいろ治療したのだがニキビがなかなか治らないといって最終的に婦人科を受診される方が時々います。
こうした時は、勿論漢方での治療経験ありがほとんどです。
こうしたケースで、ピルを飲むことで改善することをたびたび経験します(勿論、無効例も同じようにあります)。



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最近、避妊に失敗して当院に受診される方が増えております。
緊急避妊という方法が知られてきたこと自体はいいことだと思います。
HP内にもあるのですが、ここでももう一度説明してみます。

この方法は、無防備な性交が行われてから

72時間以内に中用量ピルを2錠服用し、その12時間後にさらに2錠追加して服用する

というものです。

最初の服用は、早い方が避妊効果は高い結果がでています

妊娠を阻止できない確率は、10~数%程度です。仮に回避できない場合でも、胎児に悪影響はありません。

副作用は、悪心嘔吐や頭痛、めまい、乳房緊満感などです。ただし、長期に続くものではありませんのでご安心を。


この薬を服用したからといって、その後の妊娠の心配はないだろうという誤解を持たず、次の月経がくるまで必ず避妊はして下さい。この薬を飲んだからといって、すぐに月経は来ません。また予定された月経よりも1週間程度遅れたとしたら、妊娠の可能性を考えます。

間違って欲しくないことは、これはあくまで 緊急的な方法 であって、常用するものではありません。また、この方法で妊娠を阻止できなかった場合は、一般の妊娠に比べて子宮外妊娠の可能性は高いということを忘れないで下さい。

日本では、低用量ピルに抵抗感をもたれる方が多く、コンドームなど男性に依存する避妊が一般的です。
もし女性が主体的に避妊をと考えるのであれば、低用量ピルをお勧めします。

PCでのピル情報です。
http://www.alc8.com/pill/pill.html

携帯でのピル情報です。
携帯情報


今回は少し真面目なお話です。

ちょっと難かしくなりますが、アンチエイジング医学とは加齢という生物学的プロセスに介入を行い,加齢に伴う動脈硬化や,ガンのような加齢関連疾患の発症確率を下げ,健康長寿をめざす医学です。つまりアンチエイジング医学は加齢に焦点をあてた究極の予防医学といえます。

アンチエイジング医学が注目されてきた背景には,エイジングのサイエンスが進み,細胞生物学的なプロセスのひとつとして介入の可能性があることがわかってからなのです。

加齢は神秘のベールの中の避けられないものではなくなりつつあります。

1980年代までは,加齢のプロセスは非常に複雑で(もちろん今でも複雑には変わりないが),とても介入など不可能であると思われていました。

現在、加齢のメカニズムに関しては少しずつ情報が整理されて,加齢に大きく関与する分子機構が解明されつつあるのです。

すでに現時点において,カロリー制限仮説と,酸化ストレス仮説は十分に認められる理論となっており,臨床的に応用可能な情報も生まれてきています。

 最初の発見は1935年にさかのぼります。

マウスの実験で,摂取カロリーを70%程度に減らすと(CR:カロリー制限),マウスの寿命が長くなることがわかったのでした。

さらに1988年に、ある遺伝子の変異(エイジ1)により線虫の寿命が延長することが報告されたのでした。なんとたった1つの遺伝子変異によって寿命が1.5倍になったのでした。さらに,このエイジ1という遺伝子は哺乳類においてインスリンシグナルの中核を占めることがわかり,CRとともに「食べ物がたくさんある状態」では、インスリンシグナルが活性化しエイジングが促進するということがわかってきたのです。

逆に言うと、インスリンシグナルを抑制することが長寿になるということです。

簡単に言うと、食べ過ぎるなということでしょうか。
そして、食の中味をよく考える事なのです。

以前書いた、「炭水化物とはなんぞや?」のあたりを読み返してみてください。

メタボリックシンドロームになることは、加齢を促進するプロセスになったと考えることができるのです。

食事には十分気をつけて適度な運動を継続し、インスリンシグナルを抑制することが、アンチエイジングの基本であるという、まことに単純かつ重要な結論でした。