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札幌アップル発:婦人科医師のお話を

平成15年、札幌駅北口前の札幌エルプラザに開業しました。不妊治療をはじめ、思春期~更年期までの女性のサポート役としての産婦人科医師を目指しています。日々の婦人科診療の中で気がついたことや気軽な話題など書いてみたいと思います。

一時のパニックに近い報道から落ち着いた感のある新型インフルエンザですが、けっしてその勢いは衰えていません。
まだほとんどの人が抗体を持っていないため(免疫がない)にこの時期にも広まっていると考えられます。

国立感染症研究所のHPから、日本の流行地図(2009年7月24日現在)
MAP090724 のコピー赤い地域が100人以上の所です。

北海道、茨城県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、岐阜県、滋賀県、京都府、大阪府、福岡県、沖縄県などです。

特に沖縄が突出していると報道されてます。



新型インフルエンザの電子顕微鏡画像です。
kinn.jpg

電子顕微鏡の世界でみられるものですから、実際は見えない脅威との戦いです。

ていねいで正しい手洗いが大切です。

口うがいだけでなく鼻うがい (←ぜひこれも忘れないで下さいね。まだ知らない人は是非このブログで見て下さい。)


YouTube 新型インフルエンザから身を守る知っておきたい感染予防策
手洗いの方法などもわかりやすく出てます。
是非見て下さい。
右をクリック  http://www.youtube.com/watch?v=WNQ7Y9d4D4k&feature=channel

新型の致死率は、0.5%で1957~1957年世界で100万人以上が亡くなったアジア風邪並みと推定されています。
通常の季節性インフルエンザは、0.1%で、日本では毎年約1万人が亡くなられています。

マスクは万能ではありません。
マスクをしていれば人にうつさない、本人もかからないことを保証するものではありません。
また、せっかくマスクをしたら、鼻を出さないように。
効果が低下することも知って下さい。

それと、自分の熱が下がったからもう治ったと考えて、外出される方を多くみられます。
たとえ熱が下がっても他人への感染力はしばらく続きます
他人にはうつさないという事を常に気遣って行動して下さい。

新型インフルエンザのワクチンワクチンは、年内に1400~1700万人分を確保できる見込みです。
国内接種が可能になるのは10月以降との見込みです。
ただワクチン接種の優先順位など、どのような仕組みで接種ができるのかはまだ不明です。
季節性インフルエンザワクチンも忘れないようにして下さい。
アップルレディースクリニックlovecoAPPLEにても、季節性インフルエンザワクチン接種は11月以降に可能です。

精子の受精成功率はどのくらいか知ってますか?

宝くじで8千万本に1本の特賞を当てる方が簡単なレベルです。

精子の使命は、卵管内で卵と出会い、健康なDNAを届けることです。
その道のりはとてつもなく険しく過酷です。
こう考えると今自分がこの世に存在することすら奇跡的なのです。
選ばれたDNAなのです

P8090005.jpg
精子の尾の断面写真です。
尾の内部には、小さな強靱なコイル状の構造が含まれていてこれが精子に泳ぐ力を与えています。

精子は尾を振りながら1分間に1.2cmというスピードで泳いでいます
目指す卵は卵管にいてそこまでの距離は約30cmです。
約10時間かかります





まず、最初の関門は、膣内の環境です。
酸性では生きていけません。
射精されたアルカリ性の精液の保護のもとでのみ子宮の入り口にたどり着きます。

子宮の入り口は、粘液で塞がれてます。
排卵時にはこの粘液の栓が少しゆるみそこを抜けられた精子のみが子宮の中へとたどりつきます。

そしてなんとか子宮の中にたどり着いた精子は左右どちらの卵管にいくかを選ばなければいけません。
か?
どちらかにしか卵は待ってません。

正しい卵管に行き着いた精子を待ち受けるのは、さらに過酷な試練です。
卵管内の繊毛と壁は、卵を子宮の中に運ぶ方向(卵管子宮に動いてます。

その逆方向(子宮卵管)に精子は向かおうとしてます

多くの精子は、進む方向とは逆の動きのくぼみに引っかかり卵に到達できません。

最終的に、射精された数百万の精子のうち、卵に会えるのは500個以下です。
約50万分の1の確率

受精
この卵の写真に群がっているのが到達した精子です。

P8080005.jpg
これが卵の写真です。精子はここを通り抜けなければならない。

CIMG0985.jpg1個の精子だけが卵との融合が許されるのです。

左の写真の赤いクレータというか海綿状のようなものが卵子の壁です。

この壁を突き破って到達した精子の決定的写真なのです。

白い頭のようなのが精子の頭部です。
白く長いひも状なのが精子の尾です。



サバイバルレースの勝者の顔です。
この笑顔?になれる最終的確率は数百万分の一です。

最初の1個が卵と癒合すると、膜は電荷を変化させて精子を引きつけていた磁力が消失します。

あわれ閉め出された精子は数日間卵の周りをさまよい続けて物語りは終わります。

精子は射精後、約48時間は生き延びることができます。

むかし、むかしあるところにこぶとりおやじがおったそうな。
このおやじは毎週、毎週、大きいのやら小さいのやら何個ものこぶ をとっていたそうな。

「こぶとり」おやじはけっして「小太り」おやじと読まないで下さい。
実はこれ「コブ」を「とる」という意味です。
産婦人科医師の中(もしかして自分達だけ?)では、毎週何個も子宮筋腫(子宮のコブ)をとっているのをたとえて、こぶとりおやじと呼び合ってました(女性医師はいなかったし、こぶとりおばんと呼ぶ勇気はない)。

で、本日の話は、この「子宮のこぶ」いわゆる子宮筋腫についてです。

筋腫
筋腫は、そのできる場所によって分類されます。

漿膜下筋腫が、子宮の外に発育するタイプ。普通は、無症状が多いですが、茎があるとねじれによる痛みが出る場合あり。卵巣腫瘍との区別も重要。

子宮の中に発生したのが筋層内筋腫。もっとも多いタイプ。
生理痛が強くなったりします。

筋腫が子宮の中(内膜)に発生したのが粘膜下筋腫
小さくても出血をおこし生理の量が多くなり重症貧血の原因になったり、ときには不妊の原因にもなります。
この粘膜下筋腫は、ときに大きくなって子宮の中から子宮の外(いわゆる膣の中)へ出てしまうこともあります。
赤ちゃんの分娩と同じ道をたどりますので、筋腫分娩とよばれます。

まれに子宮の頸部に発生することもありこれを頚部筋腫とよびます。
場所をみてもあきらかのように、あかちゃんの分娩の道を邪魔したりしますので、帝王切開を選択することになります。

子宮筋腫の60~70%は多発性、たくさん発生している場合が多いです。

若い女性の 4~5人に1人(20~25%)という高率で発生してます。

ぜひ、「こぶ」をお持ちでないかを検査して、こぶなしお嬢様であると安心して下さい。
超音波検査が一番です。

夏本番、ここのところ、生理の移動を希望しての来院が増加しております

それとともに「妊娠してますが車 で旅行しても問題ないですか~?」
「妊娠してますが飛行機 に乗ってもいいですか?」
と聞かれることがあります。お腹が痛いとか出血しているといった場合は論外です。
でも何も症状はなくても、旅行などの非日常の生活は意外と負担のかかることは間違いありません。
無理をしないのが一番だと思います。

客観的な事を述べます。


■妊婦が飛行機旅行を希望した場合
飛行機を使用した旅行が流産を起こしやすいというデータはありません。

●妊娠12週~28週頃が旅行に適しています。

●搭乗可能な妊娠時期においても、出血、腹痛がある場合、著明な妊娠悪阻、切迫流産、切迫早産、前置胎盤、頸管無力症、妊娠高血圧症候群、血栓性静脈炎、Hb値8.5g/dl以下の貧血がある場合には、旅行を見合わせるように指導します。

●国内線の規約
搭乗日が分娩予定日の1週間前以内の場合:診断書・同意書・産婦人科医の同伴は必要です。

●生後7日以内の新生児は成熟児でも搭乗できない。未熟児の場合には生後7日以降でも制限があります。

全日空(ANA)<国内線>
同意書は出発空港で記入。
診断書・同意書のダウンロードはANAホームページへ
http://www.ana.co.jp/share/assist/10.html

日本航空(JAL)<国内線>
同意書は出発空港で記入
診断書・同意書のダウンロードはJALホームページへ
http://www.jal.co.jp/smilesupport/mama.html



飛行機内の環境

●飛行機は7,000~13,000mの高度で飛行するために、与圧しても地上の80%の機内圧です。
(これは1,500~2,400mの高地に相当 します)
●酸素飽和度は地上の90%です。
●機内湿度は10~20%とかなり乾燥しています。
●機内空気はフィルター換気をしていますが、ウィルスの除去はできません。
●気圧低下のために腸内ガスが膨満しやすくなります。

飛行機旅行する妊婦さんへのアドバイス

●重い荷物、広く混雑した空港、出発・到着の遅延などで疲れやすい。
●時差もストレスになる。
●長時間同じ姿勢を取り続けなければなりません。
(エコノミークラス症候群が問題となっている)

対策
水分補給と可動が必要です。
よく身体を動かすことが基本。
なんかに行くこともいいかも。
ただし急な揺れにはくれぐれも注意。

十分な水分を摂取する一方、脱水を招くアルコールは妊娠にはですがコーヒーは控えること。
歩けない場合は、足を上下に動かすなど適度な運動を行うことが予防にいいとされています。

席から出にくく、トイレに立つのもつい我慢してしまう窓側より、すぐに立って歩ける通路側の席にするのも予防のこつです。

●飛行機揺れと気圧の低下に伴い腸管内のガスが膨張するので吐き気もでやすくなります。
ですから炭酸飲料を飲むのは避けた方が良いでしょう。

●シートベルトは延長用が用意されています。